世界自然遺産
奄美群島国立公園は、奄美群島にある奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の島々からなります。これらの島々は、大陸から分離した山がちな島(奄美大島、徳之島)とサンゴ礁が地殻変動によって海面上へ隆起した平坦な島(喜界島、沖永良部島、与論島)に分けられ、島の成り立ちが違います。
奄美群島の島々には、そのような島の成り立ちを反映した豊かで多様な自然環境、固有で希少な動植物からなる生態系、そして人と自然の関わりから生まれた文化景観が残されています。島ごとに個性的で魅力のある自然と、人々の営みの歴史や暮らしを感じる体験を楽しむことができます。
徳之島は、激しい地殻変動により大陸や日本本土と陸続きになったり離れたりを繰り返してきましたが、約200万年前までに大陸から切り離され現在の島の姿になりました。
島が形成される過程で、生物の移動が制限され、はるか昔は大陸に広く分布していた生物は奄美の島々に取り残され、何百万年もの長い年月をかけて世界の中でもこの島々にしか生息しない固有の種へと進化していきました。徳之島に生息する生き物たちはこうした悠久の歴史を経て、今私達とともに暮らしているのです。
徳之島は、北部の天城岳 (標高533m)、中南部の井之川岳 (標高645m) を中心に連なる山地、それを取り囲むように広がる農地・集落、特異的な景観が広がる海岸からなる自然豊かな島です。山地には、亜熱帯照葉樹林が広がり、アマミノクロウサギや徳之島のみに生息するオビトカゲモドキやトクノシマトゲネズミなど固有で希少な動植物が生息しており、豊かな生物多様性を感じることができます。
海岸部には、犬の門蓋や犬田布岬の海食崖が雄大な景観を成しています。他にも、奄美群島では珍しい花崗岩が露出するムシロ瀬、サンゴ礁が発達した美しいビーチが広がる畔海岸や喜念浜や金見崎など多様な海岸景観を楽しむことができます。
徳之島では人の生活圏と森林や海が近接しており、山中に残る古道や炭窯跡などの痕跡や浜下れ行事等、現在も続く風習や暮らしは、古から続く人々と自然とのかかわりを想起させてくれます。島唄や豊年祭や島料理など、地域固有の文化や知恵が今も継承されています。